塾という仕事を、辞めたくなった事はあるか?
正直な気持ちを言えば、ある。
麻布学院は、この地域に限れば、この10年、一番トップ校合格を出している。
それは、素直に嬉しいことです。
誇らしくもある。
在籍していた生徒、全ての努力の結晶だから、とても誇らしい。
けれど、私はその陰で、生徒を不合格にもしている。
公立高校全員合格は、未だ無い。
麻布学院は、私の方針で、全員が努力をし、生徒自身が目標とする高校を受験する。
生徒が、努力をしてくれるので、合格できる学力に到達する。
逃げない。ほとんどの生徒が逃げない。
学力と、それまでの努力を信じて、目標校に挑む。
結果、合格者できる生徒もいれば、不合格になってしまう生徒もいる。
「ランクを下げて提案したなら・・・・」
「あれだけ努力してくれたのに・・・」
そして、「保護者、生徒ともに、信頼を寄せてくれていたのに・・・・」
私は、毎年、その信頼を裏切っている。
12年間、不合格の報に触れるたび、生徒、一人一人に対する、
「ああしていれば・・・・」
「申し訳ない・・・・」
「何が自分に足りないのだろう?」
「自分は正しいのだろうか?」
そんな思いがどんどん蓄積される。
その蓄積された感情が、心の中の深い場所へと溜まっていく。
自分は生徒を落としている・・・・・。
その事実が積み重なり、逃げたくなる。
辞めてしまいたくなる。
そんな気持ちと、毎年戦っています。
だけど、辞める訳にはいかない!!
私には、この12年の、全ての責任があるのだから。
合格は、生徒の努力と才能。
不合格は、私の力のなさと、甘さ。
だから、今年も私は逃げずに、変わらなければならない。
多分、一生、この仕事を続けていくのでしょう。
ならば、もっと努力をし、意思を強く、信頼を裏切らない人間にならなければならない。
塾で、一番努力すべきは、私なんです。