受験の平均点について。

 

今年の後期選抜の平均点が発表となりました。

平均点が283.7点。

予想よりも、低い点数です。

一見、そんなものかと思いがちですが、この点数には、今までと全く違う事情が隠れています。

昨年度の平均点は283.0点でした。

0.7点上がっただけと思われるでしょう。

しかし、受験の結果を知る者であれば、不可思議な疑問が浮かび上がります。

それは、例年、410点台で評定平均4.6ぐらいの生徒が合格していた仙台一高が、今年は420点台でも不合格の生徒が多数いたことです。

今年は、倍率も落ち着いていましたし、例年410点台で合格していたのは、麻布学院の過去の合格者の受験点数で明らかです。

受験の平均点が300点を上回った年でさえ、410点台の生徒が合格しています。

その年に不合格となった生徒は、400点台の点数でした。

 

それが今年は、420点台で不合格者が出ていて、410点台の場合、合格者は仙台一高では皆無でした。

仙台二高も、昨年は、評定3.9の生徒が440点台、評定合計点160点の生徒が420点台で合格しています。

しかし今年は、評定170点台で受験の点数が440点弱の生徒が不合格となっています。

仙台一高と仙台二高を受験した麻布学院の生徒は、合格者と不合格になった生徒の全てが418点~450点台の点数に固まりました。

昨年であれば、全員合格であった点数で、不合格が出てしまったことを鑑みれば、受験の平均点とは全く違う何かがあったという事です。

宮城一高に合格した生徒達の平均点も430点を超えています。

例年、仙台一高は採点基準が厳しく、他の学校と比較すると、受験の点数が低くなるのが通常です。

ですから、宮城一高を受験した生徒の点数が仙台一高を受験した生徒達よりも高くなる場合は多々あります。

しかし、どの年においても、仙台一高で410点台後半の生徒が不合格となったケースはこの数年ありませんでした。

一番不可思議なことは、受験の獲得点数430点弱の生徒が二華高校に不合格となったことです。

比率6:4で計算すると、点数と評定が圧縮されて約310点がこの生徒の得点となるのです。

確かに評定は低いのですが、この生徒が不合格となったということは、評定175の生徒がこの点数を上回るには評定を4割に圧縮して70点、受験の点数が400点で6割のに圧縮すれば240点。

合計点数がちょうど310点で並びます。

つまり、今回の二華高校の受験の場合、合格ラインが評定175で受験点数が400点の生徒であっても、不合格者が出ている可能性が高いということです。

不合格とならずとも、麻布学院で430点弱を受験でとった生徒が不合格となっているので、それと同じラインの、評定175、点数400の生徒は相関表でいう、第二段階の2割部分に入っているということです。

つまりは、ギリギリで合格しているということ。

倍率が今年は高かったといえ、現在の二華高校の合格ギリギリの点数が、県平均283.7点の受験問題で400点になるとは考えにくいのです。

結論は2つ。

1つは、数学以外の4教科が上位校受験者にとって、難しい問題が少なく、上位校受験者の平均点は高いという予想です。

数学も、訓練された生徒にとって、75点から85点まではとれる内容でしたから、4教科87点平均で数学が75点だと仮定して、423点。

440点弱で二高不合格になった生徒や、420点台で仙台一高を不合格になった生徒がいることを考えれば、この423点では上位2校に合格するのが難しかったということになります。

少なくとも相関表の第二段階に入ってしまったということです。

例年よりも、上位層にとって簡単であったと結論が出てしまいます

 

ですから1つの結論は、上位層にとって差はつかないが、中堅高校を受験した生徒にとっては差が開くような内容だったのだと思います。

最近、新みやぎ模試は簡単だとよく言われますが、麻布学院の生徒の点数が高い時も、県内平均は270~280ぐらいだったりします。

新みやぎ模試の内部資料を見れば、仙台二高や仙台一高を第一志望にしている生徒の平均点は高いが、その他の学校を第一志望にしている生徒の平均点は低いということが見て取れます。

今年の受験は、まさにそれだったのではないでしょうか。

 

もう1つの要因は、宮城県内で地域の学力差が大きく開いているということでしょう。

近年、二華中や青陵中の影響で、小学生から進学系の塾に通う児童が増加傾向です。

しかしそれは、仙台市内の児童が圧倒的多数です。

結果として二華中や青陵中に不合格となったとしても、小学生から受験教育を受けた児童とそうでない児童の学力差は大きなものだと思います。

このような事情も1つの要因となり、仙台市内の中学生と、それ以外の地域の中学生の学力差が、年々大きくなっているということが容易に想像できます。

 

以上のような2つの要因から、上位校受験者にとって、極端に簡単であった受験問題の県内平均点が大きく上がらなかった要因だと思います。

 

これらのことを考えれば、宮城県が導入していた、A問題とB問題のような、受験校によって難易度が違う入試制度を復活させるようなことがないと、見た目の県内平均点と難易度が違う状態は続くと思います。

 

以上が私が考察する宮城県後期選抜の平均点についてです。

 

麻布学院(宮城野区原町) 塾長ブログ 2017年4月19日