怒りや疲れで嫌になった時。必ず聴くもの。追悼。

私も16年間、塾をやっているので、時に怒りや疲れで塾を辞めたいと考える時期もありました。

この仕事は必ず、受験の日を迎えます。

その合格発表の日に、必ず無力感や大きな疲れに襲われます。

日常でも、嫌なことや悲しいこと、悔しいことがある仕事です。

どんな仕事でも必ずそれはあります。

一般企業にいた時も、それはありました。

ですが企業にいた頃は、社員の1人として、同僚や上司がいる状態です。全責任が自分1人に降りかかる事はまずありません。

もし、そのような事態になれば、自分1人が退職すれば済むこと。

私は、体を壊したことで長期に会社を休む必要があると、医者に言われたとき、自分の進退をきちんと会社に告げました。

そこからこの業界に来たのですが、自分で塾をやっていれば、必ず嫌になることがあります。

100人からの生徒を抱えていますから、保護者様を加えればその3倍近い人と関わります。

しかも麻布学院は個人塾です。

自分が責任を負うべき事はたくさんあります。

 

そんな時に、ふと仕事を辞めてしまいたくなる事もあります。

会社員時代よりも少ない給料で、贅沢もせず、つつましく生きていますが割に合わないと思うこともあります。

私も仙人ではありませんから。

 

そんな時は、最後まで責任を全うした人たちの戦いを聴きます。

私が小学生の頃に起こった事故。

日航123便の墜落事故のボイスレコーダーです。

高濱機長・佐々木副操縦士・福田航空機関士の声を聴きます。

困難な状況の中で、最後まで諦めることなく、機体を操縦し、激励し、最後の最後まで戦った人々です。

あの事故を、のちにシュミレートした他の機長たちで、あの長い時間、飛べる数値をあの状態で出せた人はいないそうです。

 

さらに、のちの航空業界で、あの事故以来、あのような状態から機体を立て直す訓練がなされ、現実に生還した機体がのちにありました。

この時期になると、あの事故の犠牲者を鎮魂する慰霊登山があります。

私も、3年前、体重を落とし登山の準備をして現地に向かいましたが、残念ながらその時期は立ち入り禁止になっており、入山は叶いませんでした。

立ち入り禁止の看板の前で、哀悼の意を表するにとどまりました。

翌年は、夏に入院が重なり、出かけることさえままならずです。

 

 

何度も何度も、塾を辞めたい、仕事を辞めたいと考えるたび、あのボイスレコーダーを聴いて、自分の責任を全うすべきだと思いなおす事が出来ました。

あの御3人・さらに他の客室乗務員、そして乗客の方々にすれば、私の困難などは、まだ悩む時期でもなく、投げ出すなどはもってのほかです。

 

本当に、あの夏の事故で失われたご遺族の方々に哀悼の意を表します。

事故直後の報道で、高濱機長は一時期、バッシングを受け、ご遺族は辛い思いをしたそうです。

ボイスレコーダーが週刊誌に出て、報道で流された結果、御3人の戦いが世に知られ、名誉を回復されました。

 

私は事故当時の記憶はほとんどありませんが、大変な事故であると子供ながらに思っていました。

大学生か高校生の頃、報道でボイスレコーダーを聴き、涙しました。

沈まぬ太陽や、クライマーズハイなどの小説だけではなく、ご遺族や同僚の方々が出版した書籍も全て目を通しました。

事故報告書も現在はネットで観覧できます。

ボイスレコーダーも勿論です。

 

私はあれだけの状況で、最後まで戦った人たちを他に知りません。

脚色なしの、本当の戦いがそこにありました。

 

今日もボイスレコーダーで高濱機長・佐々木副操縦士・福田航空機関士の戦うお声を聴いて、自分にはまだやるべきことが沢山ある。

まだ投げ出す時ではないと励まされた気持ちです。

私は御3人を心から尊敬し、毎年この時期は心からご冥福をお祈りしています。

その意志を伝えたいために、体重を40キロは落として現地に向かったのですが、その年に登山事故が起きたため、閉山となっていました。

いつか、自分の感謝と哀悼の意を表すために、また御巣鷹の尾根を目指したいと思っています。

今日、私が麻布学院を続けているのも、御3人のあの戦いに気持ちを揺さぶられ、心から泣くことで前を向けてきたからだと思います。

 

人間は、最後まで戦う義務がある。

責任者ならば尚更です。

投げ出すことは出来ません。

逃げ出す場所もありません。

自分の精一杯を尽くして、この気持ちを乗り切るしかない。

それが麻布学院塾長としての私の責任です。

体調を言い訳にしない。自分は普通に生活できている。

今出来る精一杯を尽くすこと。

 

私は何度もあの夏の御3人から学ばせて頂きました。

本当に私は感謝し、哀悼の意を表します。

全ての犠牲者及びご遺族に哀悼の意を表します。

 

私のように、あの戦いを自分への戒めとしている人間は少なからずいる思います。

私が行き詰まったときに、いつも御3人が道を示してくださるようで、本当に感謝と哀悼の意を尽くします。

必ずいつか、自分の足で御3人に、御巣鷹の尾根まで、御3人の塔婆ばで出向き、深く哀悼の意を表したいと思います。

医師から止められようとも必ずです。

 

今日も救われました。本当に感謝と哀悼の念で一杯です。

ご冥福をお祈りします。

 

(場所)

バス 原町1丁目(目の前)

JR仙石線 陸前原ノ町駅下車 宮城野原駅下車 徒歩10分

麻布学院(宮城野区原町) 塾長ブログ 2019年8月23日

 

高濱機長・佐々木副操縦士・福田航空機関士・乗務員の方々・乗客の皆様・ご遺族の皆様に深く哀悼の意を表して。